『なかよし』を女の子版『ジャンプ』にしようとして生まれた少女漫画の“異端児”
「私は、新入社員当時マンガ誌志望でした。子どもの頃から、主に少年誌を読みふけっていたのですが、配属されたのは少女漫画誌『なかよし』。当時も集英社さんの『週刊少年ジャンプ』は、大変な売上でしたので、『なかよし』を女の子版の『ジャンプ』のような存在にしたいとの想いがありました」
つまり『るんるん』は、学園コメディが主だった『なかよし』を変えたいとの目標で作られていた。 漫画家から恋愛以外の特質を引き出し、これまでの少女漫画では出来なかったことを実験。 この流れで生まれたのが、武内直子氏の『コードネームはセーラーV』である。
本誌である『なかよし』で、新たな主人公セーラームーンを主役とした新作『美少女戦士セーラームーン』を連載として立ち上げることになったのだが、掲載作品の9割がラブストーリーだったため、いきなりこの作品が受け入れられるのか不安視する声もあった。そこで、作品に“半分”恋愛要素を入れ、ヒロインは“実はプリンセスである”という王道路線に。そして、彼女を守る戦士を加え、主要登場人物を5人に変更した。
『なかよし』発行部数が200万突破に、アニメは半年不振も「人気が出る確信があった」
「大きな賭けでしたが、読者に受け入れられてよかった。キラキラとして派手な設定や展開が良かったんじゃないかと当時は思っていました。ただ今思うと…」と小佐野氏は続ける。
「90年代初頭のちょうどこの頃、社会面では男女雇用機会均等法が施行されました。職場では続々と女性が抜擢され、女性が活躍でき始めた時代です。武内先生は、当時から時代の雰囲気をうまく切り取って作品に落とし込むのが上手な作家さんでした。この作品がうまく時代の流れにのっていることも、この時代を象徴する作品となった大きな要因かもしれません」
「庵野監督は作品がスタートしたごく初期に、アニメ誌でアニメ畑の人には生み出せない作品とおっしゃっていました。アニメ畑の人たちは、どうしても設定を凝ったり、色々とひねりを入れたり、複雑なことをやろうとする。ですが『美少女戦士セーラームーン』は、古典的でストレートに、恥ずかしげもなく表現した作品。そこがいいと。ちょっと恥ずかしかったけど、心の支えになるコメントでした」
「庵野監督は作品がスタートしたごく初期に、アニメ誌でアニメ畑の人には生み出せない作品とおっしゃっていました。アニメ畑の人たちは、どうしても設定を凝ったり、色々とひねりを入れたり、複雑なことをやろうとする。ですが『美少女戦士セーラームーン』は、古典的でストレートに、恥ずかしげもなく表現した作品。そこがいいと。ちょっと恥ずかしかったけど、心の支えになるコメントでした」
当時としては珍しかった、女の子がメインとなって戦う“美少女戦士”は社会現象となり、ゲーム化、ミュージカル化などメディアミックスも行われた。その後、単行本累計発行部数は全世界3,000万部にのぼり、アニメは40か国以上の国で放送され、全世界の漫画・アニメ史にその名が刻まれることに。
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