振付家、指導者として日本のバレエ界を先導し、新国立劇場の舞踊芸術監督も務めた文化功労者の牧阿佐美(まき・あさみ、本名・福田阿佐美=ふくだ・あさみ)さんが20日、大腸がんのため死去した。87歳。葬儀は近親者で営み、お別れの会を後日開く。喪主は夫三谷恭三(みたに・きょうぞう=本名・福田恭三)さん。
東京都出身。日本バレエ界の草分けである橘秋子の長女として生まれ、幼少期から母の主宰する橘バレエ学校で稽古(けいこ)に励んだ。1954年、米国に留学し、名花アレクサンドラ・ダニロワに師事。たぐいまれな優美さを身につけた。帰国後の56年、母と牧阿佐美バレエ団を創設。古典作品のほか、「飛鳥物語」など日本を舞台とする新作の振り付け補助と主演を重ね、バレエの普及に努めた。
母の他界後は後進の指導に専念。日本を代表するダンサーを数多く育てる一方、ローラン・プティら巨匠の振り付け作品を次々に国内初演し、世界の最先端を紹介し続けた。自身の代表作は芥川也寸志の曲に振り付けた「トリプティーク(青春三章)」など。「日本発の世界的なバレエを」が口癖だった。
99~2010年、新国立劇場舞踊芸術監督。01年からは同劇場バレエ研修所所長を務めた。紫綬褒章(96年)、フランス芸術文化勲章シュバリエ(04年)など受章多数。08年には文化功労者に選ばれた。
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