コロナ禍以降のハリウッド映画でNo.1の興行成績を記録した『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』だが、このままでは赤字の恐れがあるという。「コロナ禍の難題」とのヘッドラインが付された米Varietyの記事にて伝えられている。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』における支出の主な内訳として、Varietyの記事では「制作費に2億5,000万ドル、プロモーション費用に最低1億ドル、計16ヶ月に及ぶ延期に費やされた数千万ドル」と紹介されている。ここに、主演のダニエル・クレイグをはじめとするキャストや制作陣へのギャラなども追加されてくる。
こうした諸々の支出を合計すると、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』が黒字計上されるまでには、9億ドル以上の売上が必要だという。本記事掲載時点における本作の世界累計興行収入は7億3,479万ドルであるため、プラスで1億6521万ドル分の売上を立てなければいけない計算だ。
もっとも、製作を務めた米MGMは、このパフォーマンス状況を楽観視している模様。Varietyに声明を出した同社のスポークスマンは、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は「収支が取れていないだけであり、稼ぎ頭にはなっています」と述べたという。
「この映画は、このご時世において、劇場上映への我々の期待を遥かに上回る成績を収めております。国際市場全体では最高の成績を記録し、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』を抜いて、パンデミック下では最も興収額が多いハリウッド映画となりました。PVODでのリリースもすでに優れた成績を収めております。劇場上映が今も続いていることを鑑みると、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は作品単体としても、そしてMGM作品の一部としても会社に利益をもたらしてくれると考えております。」
先の通り、本国アメリカでは、31日の独占劇場公開期間ののち、2021年11月8日よりPVOD(プレミアム・ビデオ・オン・デマンド)配信がスタートした。レンタル費用は19.99ドル(約2,300円)で、AmazonやApple、Xfinity、DirecTVといった配信プラットフォームで展開されているという。日本を含め、劇場上映が継続されている国での興行収入分も合わせると、黒字着地の可能性もあるだろう。
とはいえコロナ禍という状況やその影響によって生じた支出は、スタジオ側にとって大打撃だったはずだ。Varietyの記事では、「赤字の可能性がある大作映画は『ノー・タイム・トゥ・ダイ』だけではない」と記されており、その原因が「映画館業界の回復の遅れ」であると指摘されているのだ。本作のほか、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』や『エターナルズ』、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』といった大作が「数千万ドルの赤字で着地する」見込みだという。
からの記事と詳細 ( 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が赤字の恐れ、スタジオ側は楽観視 - THE RIVER )
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