韓国国防省は24日、北朝鮮に近い黄海の韓国領・延坪島近くの海域で船から行方不明となった男性公務員が、北朝鮮に射殺されたと発表した。海上で漂流していた男性に事情を聴いた北朝鮮側が、船上から一方的に銃撃し射殺、その後海に油をまいて遺体を焼いたとみられるとしている。韓国側は新型コロナウイルス流入を警戒したための対応とみているが、有無を言わせない北朝鮮の冷酷な手法に、南北間の緊張が高まるのは必至だ。
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<辺真一氏の目>
国境を完全封鎖し、新型コロナの感染者はゼロとしている北朝鮮は、7月にコロナの疑いのある脱北者が38度線を越えて開城(ケソン)に侵入するという苦い経験をした。防疫のため、外部から入る者は無条件で射殺せよと指示が出ていた。誤って海に落ちたのか、亡命のため飛び込んだのかは不明だが、問答無用で射殺し、感染を恐れ、遺体も焼却したのだろう。08年に金剛山観光に訪れた韓国人女性が誤って立ち入り禁止区域に入り、逃げようとして射殺された事件があった。金剛山観光は今もって再開されていない。それに続く南北の悲劇だ。6月に開城工業団地の南北連絡事務所が爆破され、南北のホットラインが完全に切れた文大統領は、3度にわたる台風で大きな被害が出ている北朝鮮に食糧支援のカードを切り、再開を図るつもりだった。北朝鮮の過剰な対応でそれもかなわなくなった。(「コリア・レポート」編集長)
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