12月にリリースした最新アルバム「ホームタウン」を携え、3月よりライブハウスとホールを回ってきたアジカン。計35公演におよぶツアーの最終地点には、バンドの結成地である横浜が選ばれた。
ライブのオープニングを飾ったのはアルバムの1曲目「クロックワーク」。重厚で芯のあるサウンドがホールにじんわりと満ちていき、エモーショナルな空気が生み出された。大歓声の中、4人はそのままアルバムの2曲目「ホームタウン」の演奏へ。軽快なリズムを軸にポップなメロディが鳴り響いたあと、「レインボーフラッグ」ではオーディエンスのハンドクラップが広がる。「君の街まで」ではステージ全体にプロジェクターで映し出された街並みをバックに、みずみずしいサウンドが響きわたった。
後藤正文(Vo, G)が曲間に告げた「自由に自分らしく楽しんで帰ってください」という言葉の通り、観客は「荒野を歩け」で弾むようなサウンドにつられるように自由に体を揺らした。リラックスしたムードの中「ライカ」「迷子犬と雨のビート」を続け、後藤は「ツアーファイナルを横浜でやるのは、どちらかというと珍しいこと。アジカンは横浜のバンドなので、最後にここに戻って来れてうれしいです」と朗らかに語る。「UCLA」では緩急を付けた迫力のある演奏に、オーディエンスは息を呑んでじっくりと聴き入っていた。
力強いビートを軸に、後藤の歌声と喜多建介(G, Vo)の歌声が幻想的に重なったのは「モータープール」。「ダンシングガール」では重々しいサウンドが渦巻くAメロを経て、サビに入ると伸びやかな歌声と開放的なアンサンブルが広がる。ライブ中盤にはアコースティックコーナーが設けられ、後藤によるノスタルジックなハープの音色から「サーカス」がスタート。2本のアコースティックギターが奏でる哀愁を帯びた音色に、山田貴洋(B, Vo)によるグロッケン、伊地知潔(Dr)のドラムが重なり、音源とはまた違った形で楽曲の世界観が描かれる。山田がピアニカを披露した「大洋航路」を経て、「ブルートレイン」では3本のアコースティックギターと複雑なドラムのリズムが絡み合い、緻密な音像が生み出された。
アコースティックコーナーを終えたあと、アジカンは敬愛するスピッツの「グラスホッパー」をツインボーカルでパフォーマンス。爽快なサウンドに乗せて、後藤の力強い歌声と喜多の透明感のある歌声が響きわたった。その後は喜多がメインボーカルを務める「八景」、山田が初めて歌唱する「イエロー」といった彩り豊かな楽曲が続く。「センスレス」で盤石のアンサンブルを届けた4人は、ライブの終盤を駆け抜けるように「スタンダード」を勢いよく演奏した。大胆に楽曲が展開していく「さようならソルジャー」を披露したあと、後藤が「本当にすごく幸せなツアーでした、ありがとう。また秋ぐらいに横浜で面白いことを計画しているので、ぜひ会いに来てください」とほのめかし、会場を大きく沸かせる。最後にはアルバムのラストナンバー「ボーイズ&ガールズ」でノスタルジックなメロディを奏で、残響音が響く中、4人はステージを去って行った。
鳴りやまないアンコールに応えて再びステージに現れたアジカンは、5月にリリースした両A面シングル「Dororo / 解放区」より楽曲を披露した。おどろおどろしいフレーズで始まった「Dororo」は、サビでキャッチーなメロディが晴れやかに響きわたる展開に。「解放区」では観客が一斉に腕を上げて大合唱し、壮観な景色が広がる中、約4カ月におよぶツアーは晴れやかに締めくくられた。
ASIAN KUNG-FU GENERATION「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2019『ホームタウン』」2019年7月25日 パシフィコ横浜 セットリスト
01. クロックワーク
02. ホームタウン
03. レインボーフラッグ
04. 君の街まで
05. 荒野を歩け
06. ライカ
07. 迷子犬と雨のビート
08. UCLA
09. モータープール
10. ダンシングガール
11. ラストダンスは悲しみを乗せて
12. サーカス(Acoustic Set)
13. 大洋航路(Acoustic Set)
14. ブルートレイン(Acoustic Set)
15. グラスホッパー
16. 八景
17. イエロー
18. Easter
19. センスレス
20. スタンダード
21. さようならソルジャー
22. ボーイズ&ガールズ
<アンコール>
23. Dororo
24. 今を生きて
25. 解放区
2019-08-01 06:18:00Z
https://natalie.mu/music/news/341980
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