米大統領選投票日まで2カ月を切った今、トランプ大統領は2016年の勝利をもたらしてくれた「岩盤支持層」、特に非大卒白人有権者の熱気を高めることに苦戦を強いられているようだ。ロイターが世論調査結果を分析して分かった。
5月から8月までを対象に行ったロイター/イプソス調査と16年選挙の出口調査の結果を分析すると、トランプ氏に対する非大卒白人有権者の支持には陰りが見える。
彼らは16年時点で米有権者の44%を占め、当時の野党・民主党候補だったヒラリー・クリントン氏よりもトランプ氏を選んだ人が圧倒的だった。
現在でも非大卒白人のトランプ氏支持率は46%と、民主党候補のバイデン前副大統領に対する34%を上回っている。しかしその差12%ポイントは、5月の21%ポイントから縮小しており、16年のクリントン氏に比べた34%ポイントの大差には遠く及ばない。
さらにトランプ氏にとって悪いニュースは、非大卒白人の投票意欲がそれほど変化していない半面、民主党寄りのマイノリティー、女性、都市部住民、郊外地域住民、低所得層といったグループは投票意欲を高めていることだ。
つまり今回の選挙では、共和党が民主党に勝つために、投票率を引き上げなければならず、一段と強いプレッシャーに直面している、ということだ。
トランプ嫌悪が投票意欲高める
コロンビア大学の政治学者ドナルド・グリーン氏は「有権者の気分がどのように高揚し、扇動されているかを示す希少で興味深い分析だ」と語り、トランプ氏に明白な嫌悪感を持つという理由から、普段なら選挙に行かない人の投票意欲が高まっているとの見方を示した。
8月の調査では、有権者登録をしている黒人の69%と中南米系の61%が、「確実に」投票すると回答した。この比率はそれぞれ5月から7%ポイントと6%ポイント上昇している。選挙に行くと決めている有権者数は、女性や郊外地域住民、都市部住民、年収5万ドル未満の人の間でもいずれも5%ポイント上がった。
一方、必ず投票するという非大卒白人の比率は5月以降65%で横ばい、農村部では2%ポイント下がって63%となった。
また民主党員は確実に投票すると答えた人の比率が5月から8月までに約5%ポイント上昇して79%に達したのに、共和党は1%ポイント上昇の78%で、16年8月の民主69%、共和71%から逆転した。
イプソス調査を分析すると、投票に行く公算が大きいとしている有権者からの予想得票は、バイデン氏がトランプ氏を10%ポイント上回る。トランプ氏がこのバイデン氏の優位に対抗できる残された方策は、支持層の投票率が高くなるシナリオに限られる。
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