2020年09月12日07時13分
【ロンドン時事】英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)締結交渉は、「最終局面」(ジョンソン英首相)の第8回会合でも進展がなく、行き詰まりを打開できなかった。英国による「約束のほご」で、EUとの信頼関係にひびが入ったのが背景だ。年末にFTAを発効させるという目標達成の前提となる来月中の合意実現は、風前のともしびとなった。
「見解の相違は依然大きい」「大きな違いが残っている」。会合終了を受けて10日に発表されたフロスト英首席交渉官とバルニエEU首席交渉官の声明は、妥結のめどがつかないという認識で一致した。両者は主要な懸案で「相手が譲歩するまで妥協しない」(英メディア)ような意地の張り合いを続けている。
加えて、1月末に発効した国際条約「離脱協定」の主要部分をほごにしようとする英政府の法案が議会に提出され、英EU関係は英国のEU離脱が決まった2016年の英国民投票以降、最悪の状態となった。
法案の審議は14日の下院で始まる。首相率いる与党・保守党の議席数は過半数を大きく上回り、法案は可決される公算が大きい。法案が成立すれば英国とEUの亀裂は決定的となり、短期間での関係修復は困難だ。
EUは法案の月内修正を要求したが、英国に拒否された。今後は英国の出方を注視しながら、月末をもって交渉を停止したり、離脱協定の履行義務違反で英国に制裁を科したりする選択肢の検討を進めるとみられる。
交渉が決裂すると、英EU間の人やモノの流れに支障を来す恐れがある。離脱後も英国をEU加盟国並みに扱う「移行期間」は年末で終了し、英国の経済・社会制度は一変するからだ。
バルニエ氏は声明で「あらゆるシナリオへの準備を強化していく」と説明。旅客機の運航がまひしたり、英仏海峡の両岸でトラックの大渋滞が発生したりする事態に万全を期すと訴えた。
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