Friday, September 11, 2020

コロナ過小評価を批判されたトランプ氏「うそつかなかった」を自己弁護 - livedoor

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、新型コロナウイルスの危険性を意図的に軽く見せようとしていたとインタビューで語っていたことが明るみになり、国民に誤解を与えたとの批判が出るなか、トランプ氏は10日、発言は「適切」だったと自己弁護した。

トランプ氏の発言は、ウォーターゲート事件報道で有名な米紙ワシントン・ポストのボブ・ウッドワード記者の新著に書かれている。同記者は昨年12月から今年7月までの間にトランプ氏を18回インタビューした。

今月15日発売のウッドワード氏の新著「Rage」(怒り)には、アメリカで最初の新型ウイルスの死者が確認されるよりも前に、トランプ氏が新型ウイルスについて「致命的なもの」だと同氏に語っていたと記されている。

トランプ氏は今年2月、パニックを回避するために新型ウイルスの重大性を過小評価したと述べたという。

「適切な」発言

トランプ氏は10日、「ボブ・ウッドワードは僕の発言を何カ月も報じなかった。僕がすごくひどいことや、危険なことを言ったと思ったのであれば、人の命を救うためにどうしてすぐに報じなかったんだ? 彼にはそうする義務がなかったというのか? いやそれは違う。彼は僕の発言が適切で正しい答えだと分かっていたんだ。落ち着いて、パニックにならないで! っていう発言がね」とツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1304042651147284480

その後記者団から、新型ウイルスの危険性について意図的にアメリカ国民に誤解を与えたのではと指摘されると、トランプ氏はうそをついたことは1度もないと答えた。

10日午後のホワイトハウスでの記者会見で、トランプ氏は「うそはつかなかった。我々は落ち着かなければならない、パニックになってはいけないと言ったんだ」と述べた。

さらに、「飛び跳ねて、『死んでしまう、死んでしまう」なんて叫び出したくはなかった。そういう問題じゃないからだ」と付け加えた。

11月の米大統領選で再選を狙うトランプ氏は9日、ウッドワード氏の著書について「政治的な攻撃」だと述べた。

アメリカでは新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)開始以降、19万1000人以上の死亡が確認されている(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計、日本時間11日午前時点)。

ウッドワード氏の主張

ウッドワード氏は、トランプ氏の当時の発言内容を公表せずにいたことをめぐり批判を受けている。中には、同氏の判断は非倫理的なものだったとする声もある。

同氏は9日、米紙ワシントン・ポストとAP通信で、トランプ氏が言ったことが正確かどうかを確認する必要があったと弁解した。

「私が抱えていた最大の問題は、トランプ氏との間では常に問題になることだが、彼の発言が本当かどうかわからなかったことだ」と、ウッドワード氏はワシントン・ポストに述べた。

また、大統領選までに取材内容を公表することが重要だったとAP通信に明かした。「自分の本をクリスマスや年末に出版するなんて考えられなかった」。

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新型ウイルスについてトランプ氏は何と?

トランプ氏はこれまで公に発言してきた内容以上に、新型ウイルスの感染症COVID-19の重大性を認識していたことをうかがわせた。

通話音声によると、トランプ氏は今年2月にウッドワード氏に対し、新型ウイルスはインフルエンザよりも致命的だと話していた。

「このウイルスは空気を介して感染する」と、トランプ氏は2月7日にウッドワード氏に述べた。

「接触感染よりも厄介だ。感染するのに物を触る必要がないんだから。だろ? でも空気感染だと、空気を吸い込むだけだ。それで感染する」

「かなり油断ならないウイルスだ。細心の注意がすごく必要だ。それに、強力なインフルエンザさえ上回るほど致命的だ」

同月下旬、トランプ氏は新型ウイルスは「かなり制御されている」とし、感染者数はすぐにゼロに近づくだろうと述べていた。また、インフルエンザの方がCOVID-19よりも危険だと公にほのめかしていた。

トランプ氏は3月10日、議会議事堂で「落ち着いて。新型ウイルスはそのうちなくなるから」と発言した。

それから9日後(ホワイトハウスが国家非常事態を宣言してから数日後)にトランプ氏はウッドワード氏に対し、「新型ウイルスについて過小評価したかった。今でも過小評価したいと思っている。パニックを起こしたくないからね」と述べたという。

その他に明らかになったことは

人種問題について

ウッドワード氏は6月19日のトランプ大統領との会話の中で、Black Lives Matter抗議運動の話題を振り、自分たちのような「白人で特権階級に属する」人間が黒人のアメリカ人の気持ちを理解するよう努めるべきだと述べたという。

これに対しトランプ氏は、「きみは本当にうのみにしているんだね」、「しっかりしろよ」と答えたという。

アメリカでは、5月にミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド氏が警官に首を圧迫されて死亡した事件をきっかけに、警察の残虐行為や人種差別に対する全国的な抗議デモが続発した。

トランプ氏はまた、奴隷制を廃止したエイブラハム・リンカーン第16代大統領を除き、自分はほかのどの歴代大統領よりもアフリカ系アメリカ人のために多くのことをしてきたと繰り返した。

7月8日にも再び「黒人コミュニティのために膨大な仕事をしてきた」が、誰からも「愛情が感じられない」と繰り返した。

米紙ワシントン・ポストは、ウッドワード氏がトランプ氏に、アメリカには制度的人種差別があるかどうか尋ねたインタビューについても掲載した。

トランプ氏はこういった問題はどこにでも存在するが、「ほとんどの場所あるいは多くの場所よりも、おそらくここ(アメリカ)の方が少ないと思う」と答えたという。

トランプ氏はまた、人種差別がアメリカの人々の生活に影響を及ぼしていることを認め、「それは不幸なことだ」と述べた。

北朝鮮について

ウッドワード氏の本には、トランプ氏と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との間で交わされた数十通の手紙も引用されている。

大げさな表現で埋め尽くされた手紙の中で、金氏はトランプ氏を「閣下」と呼び、2人の「深く特別な友情が魔法の力として働くだろう」と述べたと報じられている。

米メディアによると、トランプ氏は自分と金氏のつながりについてウッドワード氏に語ったという。「女性と会ったときに、1秒で何か起きるかどうかが分かる。10分もかからないし、6週間もかからない。うわあ、という感じ。分かるか? 1秒もかからないんだ」。

トランプ氏は10日、「金正恩は健康だ。彼を過小評価するな!」とツイートした。金氏の健康状態をめぐっては、今年4月に重病説や死亡説が浮上するなど、たびたび憶測が飛び交っている。

新兵器について

報道によると、トランプ氏はウッドワード氏との北朝鮮に関する会話の中で、核兵器システムについても語ったという。ほかの複数の情報筋も新しい兵器システムの存在を認めたと、ウッドワード氏は伝えた。

「この国でこれまで誰も保有したことのない、核、兵器システムを構築した。我々はきみたちが見たことも聞いたこともないものを持っている」とトランプ氏が語ったと、ワシントン・ポストは報じている。

「我々は(ロシアの)プーチン(大統領)や(中国の)習(国家主席)がこれまで聞いたことのないものを持っている」と付け加えたという。

元大統領について

また、バラク・オバマ前大統領が「非常に過大評価されている」と感じるとも述べたと報じられている。

トランプ氏は「オバマが賢いとは思わない」、「演説に長けているとも思わない」と述べたという。

米CNNによると、トランプ氏はジョージ・W・ブッシュ第43代大統領について、「愚かな間抜けに見えるし、実際そうだった」とも発言したという。

トランプ氏の発言の時系列――ウッドワード氏に語った内容と公での発言

1月28日:ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、新型ウイルスは「国家安全保障上最大の脅威になる」とトランプ氏に伝える

2月7日:トランプ氏、新型ウイルスは「致命的なもの」で、インフルエンザよりもはるかに深刻だとウッドワード氏に語る

2月23日:トランプ氏、新型ウイルスは「かなり制御されている」と記者団に述べる

2月26日:トランプ氏、15人の感染が確認されていた当時、ブリーフィングで「数日以内に感染者数はゼロに近づくだろう。我々はかなりうまく対処している」と述べ、インフルエンザのほうがはるかに危険であると示唆

2月27日:トランプ氏、新型ウイルスは「消えてなくなる」と述べる

3月10日:トランプ氏、議会議事堂で「我々は素晴らしい仕事をしている。新型ウイルスはそのうちなくなるから、落ち着いて。新型ウイルスはなくなるから」と述べる

3月19日:トランプ氏、パニックを回避するために新型ウイルスについて過小評価したかったとウッドワード氏に語る

(英語記事 Trump denies lying about risks of coronavirus)

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